「はああああ」


涼は深いため息をして、髪をかきあげた


「全く、校内で暴れないで欲しいね」


「あの…」


一部始終を見ていたじゅりなは若干引きぎみで涼に話しかける


「あっ、そういえばゲームの途中だったね」


「いや、あの、それどころじゃないですよ」


「へっ?」


じゅりなは涼の後ろを指差した
涼はゆっくりと後ろを振り返る


そこには



「千波…」


涼はさーっと血の気が引く気がした


そこには、うるうるした目で涼を睨み付けながら、息を切らして肩を上下させている渡會千波がいた


「なんかっ…はあ、はあ、変なやつがこっちの方に来るからっ…はあ…急いでっ…来た…のに…」


そこで千波は耐えきれなくなったようで、きゅっと顔を歪ませると、踵を返して全速力で走っていく


「待ってっ!!千波っ!!」


涼も負けじと驚くべき速さで千波を追いかけていった


一人残されたじゅりな


すると


「私の…どこが…いけなかったのかしら…」


倒れていた女、もとい水鳥菖蒲は呟くように言った


「彼を純粋に愛してた…。いつから…こんなっ…」


菖蒲は声をあげて泣きはじめた


「じゅりなっ!!」


そこへ、足音高く、春樹がやって来た


「じゅりなっ!!無事かっ!?」


「春樹…」