「そいつを殺したら、消えてあげる」


「はああ」


涼は盛大なため息を吐いた

「なんで殺すとか、殺さないとかそういう問題になるわけ?」


「小学生の時、転校生だった私に最初に話しかけてくれたのが彼だった

春樹だったの

当時、すごく太ってていじめられてばかりだったから、話しかけてくれて、すごく嬉しかった


もう、一瞬で一目惚れしてね。それからずっと好きだった。告白だってしたのよ。まあ、玉砕されたけど。

それでも好きで、また私は転校することになって、中学校は違ったけど、まだ好きだった。


彼に好きになってもらいたくて、キレイになる努力もしたの

でも…春樹は……また、私をフッたわ。キレイになったのに…。」



「確かに、」



いつの間にか涼は女の前に立っていて、女が驚いている隙に、女の顎を持って上に上げた



「キレイだ」


「なっ…」


明らかに動揺する女


「こんなにキレイなのに、何故春樹は君の魅力に気づかないのかな?」


涼必殺の色気のある視線と手つきで相手を翻弄する


「おっ、お前に言われてもっ…嬉しくないっ!!」


「え〜?嘘はイケないなぁ」

涼が一歩近づく度、女は下がる


「ちっ、近づくなっ!!」


「水鳥 菖蒲(みずどり あやめ)さん、だよね?最近テレビで見るから知ってたよ」


「うっ…///ちっ、近いっ//」


女はついに背中が壁についてしまい、逃げられなくなった

涼はナイフの握る手首を掴む


「俺、春樹とダブル主演で出てたドラマ見てたよ」

「っ!!」


「嫉妬しちゃった。」


そして、握っていた手首を壁に押しあて、ぐっと女に顔を近づける

女はその大きな瞳を涼から離せない


「ねぇ」


涼の吐息が女にかかる


「な、何よっ…」


上ずった声を出す女
完全に涼に引き込まれている


「ちょっとごめんね」


「へっ?」


涼は女にみぞうちに鋭い一撃を食らわした

女は、一瞬衝撃に驚きの表情を見せたが、次にはぐったりと倒れてしまった

涼は崩れ落ちる彼女を、抱えようともせず、ただ彼女から冷徹な瞳を持って離れた