『じゅりなっ!!危ないっ!!逃げろっ!!』

「春樹、大好き」




じゅりなは電話を切った



「あなた、じゅりなさん、かしら?」


黒髪から見える肌は白く、顔立ちは整っている


「ああ、そうだが、何か?」

じゅりなは腕を組み、得意の偉そうな顔をする


「会いたかったわ…あなたがいなくなれば…ふふ…春樹は私のものよ」


「ほお、本当にそんなことを思っているとしたら、貴様は正真正銘のバカだな」

「なっ、なんですってっ!?」

「どうして関係無い人間を刺していけば最後に貴様を見てくれると思うんだ、むしろその逆だろ、普通」


「だ、だって…私はっ、春樹にフラれたのよっ!!彼は大切な人がいるから私とは付き合えないっ、そう言ったわっ!!」


興奮して肩を上下させながら叫ぶ女


「だからっ、消してやるのよ、春樹の大事な人たちを、全員ねっ!!そして彼は孤独に陥り、最後には私しかいなくなるわっ!!

彼を本当に愛してあげられるのは、この私だけなのっ!!」


「全くもって狂ってるね」


その時、カラオケボックスから涼が出てきた


「先輩っ!?来ちゃダメですよっ!!」

「何危ないことしようとしてんのさ、女の子なのに」

「大丈夫ですっ、そこらへんの男より私強いですから」


「ふーん、でもほら、俺、そこらへんの男じゃないし。校内に不審者がいる、なんて我が校の不名誉になるでしょ?」


じゅりなに向けていた爽やかスマイルを消し、犯人を、凍りつかせるほど冷たい視線で見る涼


「ちょっと、消えてくれないかな」