翼はクローゼットを開け、段ボール箱を軽く漁る


そして、ごっそりとアルバムを抜き出し、高速でページを操る


「あっ、いた」


そして、時計を見た


「急がないといけませんね」

アルバムと台本を持って立ち上がり、部屋を出てエレベーターに乗る


翼は携帯を取りだし、春樹にかける


『もしもし、翼、台本見つかった?』


「はい、あと今回の事件の犯人もわかりました」

『えっ!?ホントっ!!誰なのっ!?』


「それは…」



エレベーターが開き、翼は歩を進める


しかし、真正面から来た女が立ちはだかった


「あなたは…」


「ひとりになるのを待ってたわ」




グサッ




「うっ…」


『翼…翼っ?翼っ!!』


ナイフが深く翼の腹部に突き刺さった


女は走って逃げていく



「は、…春樹…」


『どうしたっ!!翼っ!!』


「つ、次は…ごほっ、ごふっ、」


翼は激しく咳をした
手のひらにはべったりと赤黒い血がつく



それを見て、翼は軽く


微笑んだ



ずるずると背中を壁につたわせて座る


「どうか…生きて…春樹。」

『な、なに言って…』


「気を…つけて…がはっ…はあ、はあ……はあ…犯人は……………」