「勝負?」


千波先輩が去った方面を見ていた先輩はやっとこちらを向く


「先輩の実力を見たいんです」

「俺は君みたいにゲームは強くないよ」

「千波先輩、」


「え?」


「先輩が勝ったら、千波先輩の好きな人を教えてあげます」


「な、意味がわからないな。どうして君が知ってるの?」

「私はそういうのわかっちゃうんです。例えば涼先輩の好きな人も、わかりますよ」


「君は、勝ったら、どうしたいの?」

「私は…、」


珠理奈はそれはそれは美しく微笑んだ、逆に不気味なくらいに


「先輩は私の犬になる、ということでいかがでしょう」


「犬っ!?」

「はい、丁度ペットが欲しい時期でしたしっ」

「これは負けられないな…ちなみに犬はどんなことするの?」

「何でもする、主人の命令には絶対、それが犬です」

「…そしたら俺の方が罰がひどいような」

「不服でしたら、先輩が勝った時の追加注文をして良いですよ」

「じゃあ、」


涼の目が鋭くなった


「俺が勝ったら、千波に俺の気持ちを言わないで欲しい」

「え…それだけ、ですか?」

また涼が優しい目に戻った

「うん、それだけで十分だよ。千波は卒業したらアメリカ留学して、向こうで歌手デビューが待ってる。

悔しいけど、俺は所詮この箱庭の理事長になるために教育の勉強をしなきゃいけない」


涼は切なく微笑んだ


「今の芸能活動は、ただの思い出作りだよ。さ、ゲーム、始めよ。何のゲームするの?」


じゅりなは目を伏せ、また涼を見た



「カラオケ対決です」