じゅりなは、ハッとして焦った

春樹は私が待ってると思ってくれてる

春樹より先回りして待ってあげてなきゃっ!!


じゅりなは覚えたての校舎の地図を頭に思い浮かべながら、屋上までの道を最短ルートで走った


屋上までの階段に腰を下ろし、上がりまくった息を整え、今まで待ってましたが、何か?、という顔で待つ


するとスタスタと足音が聞こえてきた


ドキドキしながら待つ
彼が顔を見せて、ごめん、とか謝りながら、屋上への鍵を開ける
そんな、シュミレーションをして待つ



あれ?



足音が近づく



何で私、ここまで能登春樹の為に頑張ってんだろ



タッタッタッタッ…



どうしてお弁当なんか…


どんどん登る


なんでドキドキして…



彼が登って来た

顔を見た瞬間、言葉を失った





ああ




好きってこういうことか





「あっ!!すみません!!神っ!!お待たせしてしまって、今、開けますね」


「春樹…」


「ああ、こういう時に限ってなかなか開かない」


「春樹っ」


カチリ、鍵が開いて、春樹が振り替える


その時、じゅりなが春樹に抱きついた



「へっ?」


突然のことで身動きとれない春樹
じゅりなは春樹の胸にすりすりと頬をうずめる


「さっきの女っ、誰よっ!!」

「え…」