そのあと、春樹が教室に入って来た


「おはよっ」

「あ、能登春樹っ」

「だから、春樹でいいってば」


いつもと変わらぬ笑顔で席につく春樹

じゅりなも安堵して席につく


「どうしたの?今日、来るの遅かったけど」

「ん?ああ、寝坊しちゃって…」

「寝坊?」

「おい、春樹。寝坊じゃねぇだろ」


そこへ柿本がやって来た

お忘れかもしれないが、同じクラスメイトである


「おはよっ、じゅりなちゃんっ。俺、柿本渉(かきもとわたる)よろしく」


ニカッと笑うと正に絵になる男である
ちょっとチャラいけど


その隣には黒ぶちメガネで、艶のある髪は短めでマッシュルームのような髪型をしている
色白で蒼い目をした男がいた


渉が男の肩をガバッと抱く


「こいつは、宮部蒼(みやべあおい)無口で全然喋らねぇの、よろしくな」


「ああ、どうも」


じゅりなが会釈すると蒼はペコリと会釈を返した


「まあ、本題だけどよ、春樹が遅刻した理由教えてあげようか?」

「へ?」

「柿本っ、」


春樹が珍しく人を睨んでいた


「おおっ、こわっ。いいじゃんよ、別に悪いことしてるわけじゃないしさ。春樹は毎日、朝、休み時間とか昼休み、放課後と、誰かにコクられてんの」

「えっ!?」


「モテすぎだよなぁ、全く。俺もそれくらいモテてぇよ」

すると、蒼がボソリと喋った


「渉はもう十分愛されてる」

「ん?そうか?」


「渉、もう行こ」


蒼は渉の服の袖をくいくいと引っ張る


「ああ、そうだな。じゃあなっ」


渉と蒼は仲良く教室を出て行った