「今、そのお友達は地元の病院で今も意識は戻っていませんわ。でも命に別状はないみたいですわね」


「よかった〜」


「目撃者はいないの?」


「駅の近くだから目撃者は多数で、黒い車ですわ。」

「運転してるやつは見えなかったのかよ」


「ええ、黒い帽子に、黒いサングラス、マスクもしていたみたいですわ。黒い服に黒い手袋もしてたみたいですし…。」

「計画的犯行だな、そりゃ。車を運転出来るってことは二十歳以上かもしんねぇよ」

「免許がなくても運転出来る人はいますわよ」


ジトーっとした目でじゅりなを見るモコモコ


「そうだな」


視線を反らすじゅりな


「手がかりが無さすぎだなぁ。」


サソリが頭の後ろに両手を組む


「春樹の芸能界引退を最近になって願いだし、地元の人間で、車が運転出来る人っている?」


「ん〜、わかりません…」


「だよね〜」


完全に捜査は行き詰まった

「俺はこのまま芸能界を続けても良いんでしょうか?」


「春樹くん…」


「妹や友達がこんな目に遭ったのに…俺は…」


「うじうじしてんじゃねぇよっ、そんなの犯人の思う壺だろうがよっ!!根性見せろよっ!!」


「でもまた誰か襲われたら…」


「君の大事な人」


じゅりなは呟いた


「え?」


春樹やモコモコたちもじゅりなを見る


「大事な人、という定義だ。君は妹さんや、その地元の友人を溺愛していたのではないか?」


「あ、はい。俺、よくシスコンって言われてましたし、その友達はちっちゃい頃からの幼なじみで、2人とも俺の大事な人です」


「犯人は、君の“大事な人”になれなかった人じゃないか?」


「そっか…」


「学生時代から現在にかけて君が交際を断り続けてる相手じゃないのか?」


「そうだよっ!!きっとそいつが犯人だよっ!!」


「何で私を愛してくれないのよ〜っていうのが溢れちゃって、犯行に及んだ」


「それで、そういうやつはいるのかよっ!!」


「え…えっと…」