「なっ///」


じゅりなは腕を掴まれたことに驚き固まる


「俺が乗せていけば問題ないでしょ」

「はっ!?///」

「俺がこぎますから、神はどうぞ後ろで乗られててください。そうすればすぐ着きますから」

「な、なな、なんでっ///そうなるんだっ!!//」


じゅりなはバッと振り返り、春樹の顔を見て再び固まる
見つめあう2人


「俺は、1秒でも長くじゅりなと一緒にいたいんだ。それだけじゃ、ダメ?」


「っ////」


まっすぐな目がじゅりなを捉えて離さない
ますます赤くなるじゅりな
ずるい、こんなときだけ、敬語抜きで、しかも下の名前で呼ぶなんてっ


「わ、わかった…//行くから、は、はやせ//」


「はいっ、すみません、強く握りすぎちゃいましたね」


春樹はじゅりなの腕を離す代わりに、カバンを2人分、チャリの籠の中に入れた

「へ、変な噂たつかもっ!!2人乗りとかしてたらっ//」


「噂、たたせとけばいいじゃないですか」


「2人乗りして先生に怒られるかもっ」


「怒るなら、チャリ増やせって主張すればいいです」

「周りの視線がっ…」


「あのさぁ」


「っ!!」


春樹の低い声にビクッと肩が上がったじゅりな



すると、春樹はじゅりなの頬に手を添え、顔を近づけてくる


ええっ!?
こ、ここでき、キスですかっ!?
ちょっ、いやっ、あの、心の準備があああっ!!


しかし、春樹はじゅりなの唇を通りすぎ、耳元まで顔を近づける


「あんまりそういうこと言ってると、キスしちゃうよ?」


低くて、耳がくすぐったくなる声


じゅりなは耳まで真っ赤になり、硬直する
心臓が早鐘のように動く


「重いとか言ったら殺す…。」


精一杯のじゅりなの強がりにくすっと笑う春樹


「はい、お任せください」


チャリの後ろに乗り、春樹の腰に腕を回す


「では行きますよ」

「ああ」


春樹の広い背中を見て、視線を反らし、ショートカットにした髪を、耳にかけるのだった