三時間目、化学


「?何で睨んでくるの?じゅりなちゃん」

「まみりんがじゅりぴょんにセクハラしたからでしょうが。慣れてない子にしちゃダメ」


「慣れてもダメですっ、いや、慣れたくないですっ」

「なあに?女子はもうそんなに仲良くなったの?早いね」


遠矢が羨ましそうに言う


「俺とも仲良くしてよね、じゅりなちゃん」


遠矢がじゅりなに微笑むと、嘉穂は傷ついた顔で遠矢を見て、少し目を伏せた

そんな嘉穂を見た間宮は頬杖をつき、呆れたように嘉穂と遠矢を見た



そして、春樹は悶々としながら、じゅりなの背を見つめるのだった



「これを化学式に直してください、じゃあ、安藤」


「はい」


なんか私にあたる率多くないっ?


じゅりなは黒板まで歩を進め、白いチョークを持つ
黒ぶちメガネをくいっと上げ、カリカリと黒板に文字を刻み始めた


「へぇ〜、すごいじゃん」


遠矢は目を細めてニヒルに笑う

またクラスがざわめいた

ひょっとしたら、じゅりなは天才なのではないか

皆がそう思い始めていた


最後まで書き終え、教師を見ると、しばし黙考した後、


「お見事」


滅多に誉めない化学教師は苦々しくそう呟いた


クラスからどよめきと拍手が起こる


じゅりなは照れ笑いをしながら席に戻る
その時、能登春樹と目が合った

が、すぐに能登春樹によって目を反らされてしまった

なんなの…今の…


モヤモヤした気持ちのまま化学が終了した