「かほりん、今、じゅりなちゃんの笑顔に見とれちゃったんだよな」

右隣の男子がニカッと感じの良い笑顔を見せた
小柄な彼は多分嘉穂よりも背が低いだろう
甘く高いハスキー声は耳をくすぐるように、よく通る


彼の言葉に頬を赤らめる嘉穂


「ばっ!バカじゃないのっ!?そんなわけないじゃないっ!!」


あら、意外な一面
ぶりっ子キャラでやっていると思っていたけど、いきなりキャラ崩壊してますぞ
いや…この場合キャラ崩壊させられちゃった、というべきが…


「強がっちゃって〜、そんな自分に気づいてちょっと後悔してたんじゃないのぉ?」

「なっ!?なに、見透かしたようなことをっ!!」


怒っていても可愛い嘉穂
リアクションが良いのでからかいたくなるのがわかる気がする


「ああ、自己紹介してなかったね、はじめまして。俺は、梶浦遠矢(かじうらとおや)よろしく」

「よろしくお願いします」


この人も人間観察が上手いな

まあ、あたしには到底及ばないけどね

優男の面して腹ん中では色々な策略や陰謀を練り込んでるタイプね

苦労人の匂いがするわ


遠矢は明るい茶髪を少し揺らしながら可愛らしく小首を傾げる


「じゅりなちゃん、芸能界入ったらすぐブレイクしちゃいそうだね」


「そうね〜」


遠矢が小首を傾げたのは私の後ろの人物に話しかけていたらしい

左隣の席からは、な、なんというか…異様なほどに色気がムンムンと伝わってきた


「ホント、良い体してるものね」


左を向くと、銀髪に染めた髪がサラサラと肩からこぼれていくのが見えた
その動作だけで美しい