「じゅりなちゃんって言うの〜?」
早速前の席の子が後ろを振り返って来た
「あ、はい。よろしくお願いします」
「ああ、いいって、タメ口で。あたしは立花嘉穂(たちばな かほ)。かほりんって知らない?」
「ごめん、テレビとかあんま見ないんだ」
アニメしか見てません
あとは…能登春樹のドラマは見てるけど
「ええ〜っ!!うっそぉ〜、じゅりぴょんも芸能人目指してるならテレビくらい見なきゃダメだよぉ。」
「じゅりぴょん…?」
「あ・だ・なっ。可愛いでしょ?」
完璧な笑顔を見せる嘉穂
まさにプロである
極限まで絞った体、白い肌、ぷるぷるな唇、艶やかな髪はくっきりツインテールにして、くるくると巻いてある
メイクもバッチリで、制服の着こなし方も可愛さを追及していた
「大丈夫っ、あたしが色々教えてあげるからっ」
ぱんっと自分の胸をネイルのしてある手でたたく
その努力は多分…血の滲むようなもの
「うん、ありがとう。嘉穂」
私も上手く笑えただろうか
嘉穂を安心させるような、不快感を与えない、そんな笑顔
嘉穂が少しボーッとしてこちらを見ている
「?どうかした?何かついてる?」
「あっ!ううん、なんでもない」
嘉穂は少し悔しそうに顔を歪ませたけど、すぐに元の表情に戻った