「芸術科はA〜Eクラスまであってね。そのなかでもSクラスは選りすぐりの子たちばかりを集めたクラスなの。頑張ってね」


「あ、はい」


担任の宮内なぎさ先生
おっとりとしていて、可愛らしい20代前半の先生だ

「ちょっとここで待っててね」


なぎさ先生は教室の中に入っていった


「はぁい、皆さん今日は転校生がいまぁす。入って〜」


じゅりなは深呼吸を1つして中に入った


普通の広さの教室には15名ほどの生徒しかいなかった
空いている席が多い
仕事で来られない人だろう



“選りすぐり”



確かに…そうみたいだ
あたし、益々場違いなような…


そのなかに…彼がいた


能登春樹


能登春樹は目をこれでもかっ!ってくらい見開いてあたしを見ている

そりゃそうだ。
あたし、普通科志望って言ってたし


「安藤珠理奈です。よろしくお願いします。」


生徒たちはどこを見ても、美男美女ばかり
平凡な人なんていない
誰もが芸能界で生き残れるくらいの個性を携えていた

なんかすごい見られてる感ハンパないんですけど


「じゃあ、安藤さんの席は…」


「ハイ、ハイ、はぁい!!俺の席の隣希望ですっ!!」


ピッと手を伸ばしてそう主張する男子生徒
教室がいっきに和やかな雰囲気に包まれる


「柿本くんの隣は埋まってるでしょ?」


「ええ〜っ!?蒼空(そら)の席なんか廊下で良いっすよ〜っ!!」


柿本


茶髪に染めた髪は彼の明るい活発な言動にお似合いである

顔立ちは言うまでもなく整っており、高い鼻と大きな目が印象的だ

まあ、翼くんの目の大きさには負けるけど

そういえば翼くんもかっこいいよなぁ

柿本、あまあま系のいかにも女の子ですっ、みたいな女子が好みだな

おっと、いけない、いけない

人間観察しちゃダメだってば


「じゃあ、改めて、安藤さんの席は能登くんの前の席にしましょう」

「はい」


周りは、右が男子、左は女子、前も女子で後ろが能登春樹である