地下の駐車場まで一気にエレベーターで下る
勿論最上階の住人専用のエレベーターなので2人きりである


ああ、制服姿の能登春樹、カッコいい…

あたし、こんな人に惚れられてるの?
益々自分が情けなくなる…


「どうしたの?」


気がつくと、春樹が至近距離でじゅりなの顔を除き込んでいた


「あっ////」


「顔赤いけど、大丈夫?熱?」


「う、ううん、なんでもない」

「そう?辛くなったら俺に言ってね?適当な理由つけて早退させてあげるから」

「うん…でもホント大丈夫だから。能登春樹は過保護なんだよっ」

「また、フルネームで呼んでるっ」

「あっ…」


そんな話をしながら歩いていると、黒光りする車からスラリとした長身の男が降りてきた


「僕は春樹のマネージャーであって、送り迎えをするタクシーや保護者ではないんですが」

「あっ、翼くんっ」

「どうも」


翼くんはいつもと同じようにピシッとスーツを着こなしていた


「まあまあ、硬いこと言わないでさっ」

「はあ…仕方ないですね」

「これあげるから」


春樹は鞄からビニール袋を取り出して、翼に渡した

ビニールには新発売の納豆パイナップル味のガムが大量に入っていた


「仕方ないですね」


翼の口調が微妙に和らぐのをじゅりなは感じた

賄賂に負けたな、翼くん


こうして翼くんの運転で学校まで送ってもらったのだった