「勝手に失恋してんじゃねぇよ、バカ。」

「だ、だって、好きな人いるって…」

「お前のこと」

「ずっと好きだったって」

「お前のこと」

「これからも好きだって…」

「全部お前のことだよ。」

「ふ、普通本人の前で言う!?」

「だから、お前が天然なのが悪いんだろ。あれほど言ったら普通気づくって」


すると、ぶわっ、と涙を滝のように流す萌花


「え…」

「そんなのわかんないわよぉ、」

「な、泣くなってば。あ、俺そろそろ行かなきゃ。帰って来たらまた改めて告白してやるからよ。今度は女が好きなロマンチックなやり方でな。」

「もうっ、いいわよっ。勝手にしなさいよっ。その代わり、私のピアノは聴きに来てよ」


萌花はぐしゃぐしゃな顔でチケットを渡す


「ありがとう」

「ひとつ聞いてもいい?」

「ん、なんだよ」

「どうして今更告白する気になったの?今までだってたっぷり時間あったじゃない」

「そ、それは…お前が熱愛報道されてたから…。」

「えっ!?そうなの!?初耳」

「結構話題になってるぜ」

「そっかぁ、だから最近やたらと結婚について聞かれるのね」

「だから…お前が他の奴にとられるんじゃないかって…思ってよ」


顔を赤面させながら言うサソリをくすっと笑って見る萌花


「笑うなよ」

「そんな心配しなくても私は翔ちゃんのものだから、大丈夫だよ」

「///ったりめぇだろ」


サソリは萌花の涙をそっと拭ってやり、頭を撫でた


「すぐ帰って来るから」