「えっ、一体、どうしたんだよっ、」
「勝手に…置いていかないでよ…。」
途端に泣きそうな顔をする萌花に慌てるサソリ
「な、泣くなよっ。いつものことじゃん。俺がふらっ、と違う店を観察しに行くのなんて」
「だって、今回は…状況が違うでしょ?」
「え…いや、まあ。少しケンカ別れみたいになっちゃったけど」
「翔ちゃん…私っ、私ね…翔ちゃんが誰を想っていようと、これから先、ずっと振り向いてもらえなくても…私は翔ちゃんのそばにずっといたい」
「萌花…」
「翔ちゃんの隣に…誰かが寄り添うことなっても…私は翔ちゃんのためにピアノを弾くよ」
「ん?」
「ピアノは確かに一番だけど、翔ちゃんは下じゃない。同立一位なの」
「ちょっと待て」
「だから…」
「だからっ、ちょっと待てってば」
「え?」
サソリは少し前珠理奈がしたようなため息を吐いた
「お前はさ、いつも直球で物事を言わないと伝わらない質だったな。しかも妄想力に長けてるから、誤解を解くのはとてもとても厄介だ」
萌花の頭上にはクエスチョンマークが並ぶ
「言葉で言ってもわかんないなら、行動で示すしかないよな」
サソリは萌花を抱き寄せ、オデコにキスした
「へ?」
萌花はぽかんとしてサソリを見つめる
「俺もお前のそばにずっといさせて、萌花」
萌花の瞳が見開かれさらにサソリを凝視する