「もうっ!!じれったいっ!!」

珠理奈が叫んだことにびっくりする萌花


「言い訳なんて聞きたくないのっ!!2人とも忙しい身なんだから、またいつ会えるかわかったもんじゃないでしょうがっ!!」


珠理奈は萌花の腕を掴む


「行くよっ!!」

「え、あ、珠理奈ちゃんっ」

引きずられるように走り出す萌花
エレベーターで一気に地下まで降りて行く


珠理奈に引っ張られた先には一台のバイクがあった
萌花にヘルメットを渡す珠理奈


「ハイ、これ被って」

「珠理奈ちゃん…これバイク…」

「うん、車よりこっちの方が速いし」

「珠理奈ちゃん、いつ免許取ったの?」

「うーん。去年とか?」

「珠理奈ちゃん、いくつだっけ?」

「さあ、とばすから、しっかり掴まってて!!」

「はあ、乗りかかった船ですわ、とことん乗りましょうか」


珠理奈の腰に腕を回し、ぴったりくっつく萌花
エンジンをぶるん、ぶるん、と吹かしうなりをあげて発進するバイク


珠理奈の運転に若干の不安があった萌花だが、その心配はいらなかったみたいだ

珠理奈は運転に慣れているようで、とても上手かった
安心して乗っていられる
ただ少しスピードが速すぎるような気がしないでもない


この間、翼くんに占ってもらったけど


私の好きな人に災いが降りかかる
そして旅行は最も危険


翼くんの占いがどこまで真実なのかわからない


だけど…。


どうか…どうか間に合って!


空港には思っていたより早く着き、すぐさまバイクを降りて走る


「こっち!!」


「翔ちゃんっ!!」


走るのが苦手な萌花は遅いながらも懸命に走る


先に走っていた珠理奈が足を止めたので後から来た萌花も止まる


「あれ?いないっ、能登春樹がここだって言ってたのに…」


萌花は息が乱れる中、頭だけは冷静に動いていた