「じゃあ電話でもしようかしら」

「うんっ、ファイト!」


萌花は早速翔太に電話をする


「あ、もしもし」

『留守番電話サービスです。ピーっと…』


「留守電ですわ」

「じゃあメッセージいれようっ」

「そうね」


その時珠理奈の携帯の着信が鳴った
着信音は特別に設定してある人からだった

心臓が一気に跳ね上がる


「も、もしもし?」

『珠理奈っ!サソリ今一緒にいるっ?』

いきなり春樹の大声が聞こえてきた
後ろの音がうるさい、多分空港だろう


「いないわ。どうかしたの?」


萌花もメッセージを入れ終えてこちらの様子を窺っている


『サソリが空港にいるっ!』

「えっ、ええ!!」


『ごめん!俺、もう飛行機に乗らなくちゃいけなくて…説得はしたんだけど、聞く耳持ってくれなくて…。』

「ありがとう、あとは私達にまかせて。お仕事、頑張ってね?」

『///ありがとうっ、』


場所を教えてもらってから、春樹との通話を切る
萌花に向き直る珠理奈


「サソリが今、空港にいるって」

「空港!?」

「うん、急ごう、萌花さんっ」

「で、でも…もう間に合わないわよ」

「何言ってるのっ!」

「空港まで行って、引き留めるっていうシーンはよく見るわよ。でも、翔ちゃんは忙しい人で、世界になん店舗も店を構えている人なのよ。」


萌花の美しい顔が歪む


「私に翔ちゃんを止める資格なんかないですわ。私が翔ちゃんよりピアノを優先するように、翔ちゃんも私より料理を選ぶのよ。ただそれだけのこと」