振り返ると、そこには意外な人物がいた


「能登春樹のマネージャーの片瀬翼です。はじめまして、七瀬萌花さん。春樹からお噂はかねがね聞いております。」

「あ、はじめまして。私も珠理奈ちゃんから噂は聞いていましたわよ」

「そうですか」


珠理奈ちゃんが言っていた通り、彼は終始無表情だったが対応は大人のそれだった


「それで、今夜はどうされました?」

「はい。これと言って用事というほどでも無いのですが…。とりあえずサインをいただけないでしょうか」

「サイン…ですか?」

「はい。」

「お安い御用ですわ。どなたかファンの方がいるのかしら」

「僕がファンなんです。」

「あら、音楽に興味があったんですね。」

「はい。」


必要最低限のことしか答えないのは癖なのかしら


翼から色紙を受け取り、すらすらとサインする萌花


「どうぞ」

「ありがとうございます」


色紙を受け取ったけれど、にこりともしない翼


「ではお礼に占いを1つしましょう」

「占い?出来るんですの?」

「はい。」

「はあ。じゃあお願いします」


「では、失礼します」