あ、もしかしてこのこと聞くために迎えに来てくれたのかな?
「お前のレベルに皆ついていけてねぇんだよ。」
しみじみと言う翔太
春が過ぎて夏が来ようとしている季節
それでも今日は肌寒い夜でなんだか翔太に甘えたくなってくる
「だからさ、俺たちがそういう奴らのことわかってやんなきゃなんねぇんだ。」
「翔ちゃんもこういうことあったの?」
「ああ、レストランを増やす度に思う。俺の名前で店開くんだからそれなりのシェフを揃えるんだ。でもやっぱそれなりは、それなりのレベルでしかねぇんだ。俺のレベルまで上がってこれねぇんだなって思ってよ。」
いつになく切ない表情なのは今日も実力の差を味わってきたからだろう
「ここだけの話しだぜ。他でこんな話ししたら超うぜぇからな。だから、1人で抱え込むのはよせ。俺がいつでも愚痴聞いてやるからさ」
そうやって爽やかな笑顔を浮かべ勇気付けてくれる翔太
昔からそうだった
俺がいつでも愚痴聞いてやるからさ
その後には必ず私は笑顔で返すんだ
「ありがとう」
萌花は翔太の腕に身を寄せ肩に自分の頭をのせる
翔太の顔がみるみるゆでダコのように赤く染まっていく
「バッ、な、なにしてんだっ!!」
「今日は少し寒いから」
「いや、理由になってねぇしっ!!」
「翔ちゃん。」
萌花の真剣な声色でテンションを沈める翔太
「なんだよ」
「好きな人っている?」
「っ。」