「バカッッ…じゃないですか?」

「うっ、翼っ…おはよ、もう来てたんだ」

翼は扉を開いたまま入って来ようとしない

「来てますよ、マネージャーですから。それより、猥褻行為は上に報告していいんですか?」

「ワイセツ?あっ///」


珠理奈から手を離し数歩後ろに後ずさる春樹

「断じてワイセツ行為ではないっ!!能登春樹の名に誓おうっ!!」

「あの、翼くんは玄関に入らないんですか?」

「僕はオタクが苦手で嫌いなんです」

「えっ?そうなんですか?」

「幼少の頃からオタクの春樹を見てきてすごくオタクがコンプレックスになりまして…」

「えっ!?俺のせいっ!?」

「ですから、オタクの家には入りたくないんです」

「そして無視ですか、翼さん」

「そうでしたか、じゃあ、私のことも苦手なんですね」

「今のところ拒否反応は出ていないので大丈夫です」
「拒否反応って何が起こるんですか?」


「…。」

「…。」

「それより、春樹、」

「話しそらされたっ!?」

「あなたには仕事があるんですよ、勉強を教えている時間なんてありません。」

「ええっ!?じゃあ、珠理奈に誰が勉強教えるの?誰かがいないと不安でしょっ、ねえ?珠理奈」

「いや、1人で出来る」


しれっと言う珠理奈

「いきなりの裏切りっ!」

「と、いうことだそうです。春樹そろそろ時間です、行きますよ」

「あっ、待って!待って!」

春樹は奥に駆けていき、急いで段ボール箱一つを抱えて戻ってきた


「ハイ、これ。俺が使ってる教材。一年の時のも入ってるんで、遠慮なく使ってください」

「ありがとう、助かるよ。それと、入学するまでにその敬語直しといてよ?」


「わかりまし…わかった」

「うん、よろしい。お仕事頑張ってね」


最後に笑顔で見送られ春樹のテンションは有頂天である

「春樹、しっかりしてください」

「えっ?ああ、うん」

「はああ」


翼は頭を悩ませるのだった