「この間のことなんだけど…。」
「あ…。」
あのチンピラが一方的にボコボコにされたバトルのことか
「ごめんなさいっ!!」
ぺこおっ
とお辞儀をする珠理奈
またパニックに陥る春樹
「なっ、なんで謝るんですかっ!?」
珠理奈は頭を上げ、春樹を上目遣いで見た
「だって…散々ひどいこと言ったし…迷惑かけたし…ゲーム買ってくれたし…今までも…迷惑…ばっかりかけて…」
徐々に言葉が途切れ途切れになるにしたがって顔をうつむかせていく珠理奈
「俺もすみませんでした、珠理奈の親父さんのこと何も知らないのに勝手に首突っ込んじゃって…。」
ブンブンと首を横にふる珠理奈
「さっきチンピラから借金のお金と手紙預かったの、あのくそ親父からだって言われてさ。こんな…紙切れ一枚と…お金だけで許せ、なんて…ずるいっ…」
それは怒りからなのか、悲しみからなのか肩を震わせる珠理奈
「珠理奈を眠らせた後、モコモコのおかげで親父さんの居場所を突き止められたんです」
「へっ…?」
パッと顔を上げた珠理奈
「珠理奈の友達だって言ったら土下座して何回も謝られました。こんな不甲斐ない父親ですまないって」
「っ…。」
「あと、もう少し時間が欲しいとも言ってました。直接会って謝罪する勇気がまだ無い。もうお酒もタバコも、博打もギャンブルもやめた、珠理奈に信用される大人になるまで頑張り続けるって。」
顔をくしゃっと歪める珠理奈
「良い…親父さんになりましたね」
「…バカだなぁ。頑張り続けても姿見せなきゃ意味ないじゃん」
涙は流れなかった
次の瞬間にはすでに笑顔がそこにあって