ごしごしと唇を拭い、ジャバジャバと水で洗い、もう一度厚くルージュをつけ直す
社長室に入った
「お疲れ様でした」
社長室では私を拾ってくれたママがいた
高そうな椅子に腰を深く下ろしている
「はい、今日の稼ぎだよ」
分厚い封筒が3つテーブルに乗せられる
「最近調子良いじゃないか、何かあったのかい?」
「別に、また明日ね」
封筒をカバンにしまい、高いヒールを鳴らしながら部屋を出た
愛車に乗ってマンションへと帰る
あの事件があった後、私は気づくと自室にいた
ベッドに丁寧に布団がかけられていて、サイドテーブルにはゲームも置いてあった
どうやら行列に並んで買って来てくれたらしい
それからというものの、彼と私の生活リズムはかなり歯車が狂っているので今日まで会わないで済んでいる
マンションの駐車場で例の借金取り達が待ち構えていた