「ったく…いい加減そのすぐ抱き着く癖辞めろ。」

溜息をつきながらぼやくけど、無理に離したりはしない。優しい郁ちゃんが好き。



…それにしても、いまだに夢みたい。大好きな人と一緒に住める日が来るなんて……。



―――――――…。



あれは、一ヶ月前の話。



「仕事で海外に住むことになったから。」


父さんからのいきなりの宣告。
仕事柄海外に行くことが多かったから、てっきりいつもと一緒だと思った。


「え〜!じゃあ寂しくなるね。今度はいつ帰ってこれるの??」


「雅も行くんだよ。」