「遅れてごめんね。今からID言うから」

 携帯を持ち、LINEを起動させながらそう言うと、彼は慌てたように言う。

「それじゃ覚えられませんよ!ちょっときて下さい」

 なぜか私は、彼のホテルでの部屋に行くことに…。流されやすい自分をはじめてうらむ。

「大神さん?どうした?」

 いつのまにか彼の部屋についていたらしい。彼はドアのところから、ひょっこりと顔をのぞかせて、おいでーと手招きしていた。

 正直言えば、入りたくはない。でも入らずに、ID教えないうちは帰してくれなさそうである。

(もうさっさと教えてはやく寝たい…)

 強烈な眠気に突き動かされるまま、私は入り、一回で伝わるようゆっくりとIDを教えた。