名前は竹中あおい君。いつも明るくはしゃいで、クラスのムードメーカー的存在である。　

　そしてそんな彼が、少し緊張していた様子で立っている。

「どうしたの？誰かに用？？」

　なかなか何も言おうとしない彼にしびれをきらし、そう尋ねると

「あの！メアド教えてくれませんか？」
「え…メアド……？」

　正直いうと戸惑った。彼に関しての悪い噂を聞いたことはなかったけれど、まわりの友達が友達だったし、小説とかでよく見る、ほんとにありがちな罰ゲームや賭けでもしてるのだろうか、と思ったのだ。

　それになにより私は、何かに登録するときも本名はださず、生年月日も変えるくらいに警戒心が強い。加えて、マイナス思考なのだ。

　あの派手な彼が、私のような地味な女に声をかける理由などそのくらいしか浮かばなかった。