「せ、先輩っ・・」


やっぱり吹っ切らないと。

と思った私は口を開いた。





「・・・っ、」


でも先輩の優しく笑う姿を見たら

なにも言えなくなってしまった。




「あ・・・」



風が私たちの間を通り抜ける。


風になびく木々の音。



街を行き交う人々のざわめき。



すべてが遠く聴こえた。




そのとき、

正午を知らせる鐘が鳴った。