神波は小声でそーっと聞いた。

「…なにか、聞こえるよね…?」

茶哉は黙って頷いた。


そして二人は耳を澄ませた。


「…神波さまー!!どこにいらっしゃいますかー!!」

神波の世話役の声だった。



恐らく神波を呼びに来たのだろう。

神波がいないことで彼女も咎められてしまうからだ。



だが、ここで見つかったら…

この秘密の場所が知られてしまう。



それに、茶哉の妖術も限界にきていた。

もうじき人間の姿に戻ってしまうだろう。


そう思って二人は、草の茂みに身を隠した。