ついたのは、屋敷からそう遠くない丘だった。 ここが、いつもの二人の遊び場だ。 「やっぱり春の日差しは気持ちいいねー!!」 うーん、と背伸びをしながら言う神波。 「まだ春分だからまだまだ冬だけどな。」 はにかみながらいう茶哉。 神波は、こんな他愛もない時間が大好きだった。 まだ寒く、草花などはないものの、村がよく見える場所だった。 暖かな春一番が頬を撫で、深い緑の芝生に身を投げ出した。