家宝?妖怪?襲われた?

確かに、よく考えれば家をでられるのも旅に出られるのも願ったり叶ったりだ。

しかし、一体どうしたというのか。


「し、しかし…その、旅というのには大変興味があるのですが…
妖怪など、全く聞いたことがありませんでした。

なぜ急に旅をご提案なさったのですか…?」



神波がおそるおそるきくと、父は渋いような困ったような、不思議な顔をした。


「…すまないが、いまは、深い理由は言えない。

まあ、やって行くうちにわかるだろう。可愛い子には旅をさせろ、というだろう。」


ハッハと笑って、ごまかす。


なんだかわからないことばかり、神波はすこし混乱を残しながら部屋を出た。




すごく、すごく行きたい。

しかし、何も知らなまま行っていいのだろうか。





部屋に戻っても、神波の混乱はまだとけなかった。