「悪いか?」
 
 
 
「いや…ふつう夏祭りの時って、女子は浴衣着るものだと……。」
 
 
 
華音は浴衣ではなく、ワンピースの下にジーンズをはいた格好だった。
 
 
 
「…何だ、その[花火=浴衣]の考え方は……。
 
残念ながらあたしは、浴衣なんて持ってない。」
 
 
 
「…まぁ良いけどよ。」
 
 
 
「ふん、いちいち人の格好にケチをつけるな。
うるさい男だ。」
 
 
 
華音はいかにもうるさそうに言った。
 
 
 
「悪かったな、うるさい男で!」
 
 
「ほら、さっさと行くぞ。」
 
 
そう言うと華音は一人で歩き始める。
 
 
 
「待てよっ…!」
 
 
俺は慌てて華音の後を追った。