「そうだ。」
 
 
「毎日同じ景色を見て、飽きないのか?」
 
 
「飽きない。」
 
 
 
毎日ここに来て、同じ景色を見て飽きないって……。
 
 
普通は飽きるよな。
 
 
 
「…ここに来ると、何もかも忘れることができる。」
 
 
華音は遠くを見つめながら、話し始めた。
 
 
 
「嫌なことがあってもこの景色を見ると、それがどうでも良く思えてくる。」
 
 
「そうか…。」
 
 
 
「…神倉も何かあったら、ここに来れば良い。」
 
 
華音が俺に向かって言う。
 
 
「あぁ、そうするよ。」
 
 
 
 
 
 
そして夏休みは驚くほど、あっという間に過ぎていった。
 
 
 
気付けば、あと五日。
 
 
 
そして明日は…
 
八月二十一日。