「そうか、分かった。」
 
 
 
華音が明るい声で言う。
 
 
 
「じゃあ、あたしは授業に戻る。」
 
 
 
「あぁ…。」
 
 
そのまま華音は教室に戻って行った。
 
 
 
その時の俺には、華音の言葉も耳に入らなかった。
 
 
 
「……何なんだよ…。」
 
 
…八月二十一日……
…花火……
 
 
こんな偶然ってあるのかよ…。
 
 
あの時と全く一緒だ…。
 
 
 
いや…こんなの単なる偶然だ。
 
でも……。
 
 
 
ポタッ
 
 
「…雨か?」
 
 
 
さっきまでの天気が嘘のように、雨が少しずつ降り始めている。
 
 
 
「…俺もそろそろ戻るか。」