「この世に居なくたって……
 
ちゃんと華音の記憶の中に居るでしょ。
 
 
きっと記憶の中で、生き続けるわよ。」
 
 
 
「……うん。
 
神倉はいつだって、あたしの記憶の中に居る。
 
 
神倉と過ごした日々が……
 
神倉の言葉、一つ一つがあたしの支えになっている。
 
 
 
あたしは…
 
もう独りなんかじゃない。」
 
 
 
少女は何かを決意したように、まっすぐ前を見た。
 
 
 
「……あの、あなたが黒川華音さんかしら?」
 
 
 
少女にそう言ったのは、さっきまで泣きじゃくっていた女性とだった。
 
 
その横には、さっき女性の隣に居た男性が居た。
 
 
 
「はい……何ですか?」