しばらくその光景を眺めていると、バキリと何かが折れる音がした。

 その男が掴んでいた男を横に放り投げると、そのままぐったりと動かない。

 その時ようやく、男たちは仲間が死んだという事に気付き慌ててその男に殴りかかった。

「愚か者どもが」

 男がぼそりとつぶやくと、何かに弾かれたように残りの男たちは倒れ込んだ。

「うわっ!?」

 倒れ込んだ男たちがぴくりとも動かなくなって、見ていた青年は思わず叫び声を上げてしまった。

「誰だ」

 低い声で発し、厳しい目を向ける。

 青年はその問いかけに何て答えようかと思案していると、男がこちらに歩いて来るではないか。

 青年は逃げられずにそこに立ちつくす──あと1mの距離で男が立ち止まった。

 ばっちりと目が合う。