「料理長、ありがとう。今日は頑張って美味しいおかずを作らなくてはね……」




まだ冷たいフライパンに、そっと触れる。
何だか、いつもよりも重たく感じるし、手先がヒンヤリする。



緊張しているのかしら…
多分そうね。だって、そうでしょう?



「こんな大切な日に失敗したら、今までの練習なんて…何の意味もないわ。」



自分に言い聞かせるような小さな声だったけれど、料理長には聞こえたみたい。



「怜羅さまは、そうやって極端に物事を考えますけど…僕はそんなことはないと思います。」




「料理長…?」



料理長はご飯の炊飯に続き、お弁当箱や私が使う調理道具を準備してくれていたわ。