料理長がくれたデザートと称した容器には、ハートの形のクッキーが沢山入っていた。
そういえば、私がお弁当のおかずを作っている時に、料理長は何かを作っていた。
それがこのクッキーだったんでしょうね。
きっと私が、万が一言葉に詰まってしまった時、背中を押すために。
全く…料理長ったら余計な心配だわ!
一口かじったクッキーはほんのり甘くて。
プレーン、ココア味、チョコチップ入りとか種類も沢山。
全部ハートの型抜きがしてあったわ。
全部、私のために作ってくれたもの。
「………ありがとう…」
「ん?何か言った?」
原田くんもおいしそうにクッキーを食べている。
甘いものは割と好きみたいね。
「ううん…何でもないわ」
そうして私たちは、正式に『お付き合い』をすることになった。