「よ、ヒナ」


後ろから頭を軽く叩かれた。

顔を見なくても分かる。


だって、これは…

わたしの好きな声だもん。


「椎名くん!」

「ヒナは今日も元気だな」


笑いながら前の席に荷物を置くのは、やっぱり椎名くん。

スポーツ少年を連想させるような、模倣的な黒髪爽やか系男子。


はあああ、今日もかっこいいよ〜


「お前なんだよその顔、良いことでもあったのか?」


椎名くんは笑いながらわたしを見る。

あなたですよ、あなた。

椎名くんの爽やかオーラにうっとりしてしまったのですよ。

ああ、わたしもうだめかも…


なんて、朝から呑気なことを考えていた。