なんて事は無かった
私は数秒間ポカンとした間抜け面を目の前の大好きな京くんに晒すや否や少し真っ白だった脳内も落ち着いたようでゆっくりと左右前後を見渡した後、自分の左頬もつねってみる
痛い…
これは夢では無さそうだ
もう一度目の前の京くんを見上げてみると京くんは訝しげに眉を寄せて私の事を‘何だこの変人は’とでも言いたげな表情を向ける
『用が無いなら行くけど?どうせ用があっても付き合ってくれだのなんだのってそんな事だろうけど?』
私は全く状況が読めなかった上に京くんの言ってる事にすらポカンとした間抜け面を晒すしか出来なかった
今日は3月7日、学生達は春休みという期間に入っていて外に出ればいつもの平日以上に人があちこちに居るのが伺えた
私はと言えば高校は去年卒業して現在はフリーターでバイトをしながら都内にある一軒家で母父兄姉私と5人家族で暮らしている
そんな私はいつも通り朝起きて歯を磨き母の作った朝食
トーストとベーコンエッグと牛乳、比較的一般的である朝食を食べてから最後にコーヒーを啜り部屋へと戻る
という毎朝同じ手順で繰り返してそれから自分のベッドへとうつ伏せに寝ながらポータブルゲーム機にてゲームを始める