「先生」


「な、何だ?」


……お父さん、


なんかびびってないか。


俺もミミ子ちゃんにはそうとうたじろいでるけど。


「先生、こないだわたしにした話、ユウ太くんにして下さい。」


「は……?」


お父さんは間のぬけた声をミミ子ちゃんに返した。


ミミ子ちゃんはチラリと俺を見るといきなり直球を投げてきた。


「戸波先生と離婚することになった、『浮気』の経緯です。」


うーーわーー


なんかいたたまれなくなってきた。


お父さんはなんとも言えない複雑な顔をしていて、ミミ子ちゃんの顔は、怖いことなっている。


俺の顔もお父さんとだいたい似たような感じで硬直しているのだろう。


それから数秒、なんとも言えない気まずい空気が室内で淀んだ。


俺はなんとか声を絞り出した。


「き、聞きたい、『浮気』の経緯」


ただし、言ったことが悪かった。


お父さんが悲しげな目で俺を見る。


俺はいたたまれなくなって、もじもじと体をくねらせた。