「ふふっ」


俺はふいに可笑しくなって、笑い声を漏らした。


「どうしたの?」


ミミ子ちゃんが怪訝な顔を俺に向ける。


「いや、ね、ずっと前にお母さんが言ってたんだ。両手ブンブン振り回すはた迷惑な癖が俺とお父さんはそっくりだって。」


外見は似てないぶん、たまに見える似通った部分を指摘されるたび、俺は嬉しくてたまらなかった。


俺はお父さんと目を合わせた。


顔が、少し強張る。


「んで、何でここにお父さん?」


俺は真摯に見つめてくるお父さんの切れ長の目から視線をそらして、ミミ子ちゃんに尋ねた。


「…とりあえず、椅子に座らない?幼児サイズのしかないけど。」


ミミ子ちゃんは隅から椅子を二つとってくると、一つを俺に差し出した。


「……ありがと。」


俺はぼそりと返事をした。


普段はずいぶん高めな声が、壁に沿って本棚の並べられたこの小さな部屋に、妙に低く響く。