送信主は

『上松未美子』


俺はヒロ人に見えないように不自然にケータイを立てて画面に顔を寄せた。



“こんにちは。ミミ子です。

今、昼休みだよね?

今日か明日にでも会えないかな、と思ってメールしました。

返事待ってます。”



ミミ子ちゃんらしい生真面目な文面。


アドレス交換しててよかった、と俺はしみじみ思った。


普通なら、女の子にメアドを交換しようなんて、恥ずかしくてとても言えない。


でも、あの文化祭の日は、体中にアドレナリンがめぐっていたのか、何の恥じらいもなく交換しようと言い出せた。


正直を取り戻してから、顔から火がでたが、


(ミミ子ちゃんからメールしてくれるなんて)


もだえた甲斐があったというものだ。


「ユウ太、にやけてるよ。」


「えっ」


白い目を向けてくるヒロ人に、俺はぱっと頬をおさえた。


「ごめん、ウソ」


「………」


ミミ子ちゃんたちとまだ接点もってること、死んでも言わない。