何が起きたか分からずに背中に掛かる重圧に耐えていると、香奈のはしゃぐ声が聞こえた。

「久しぶりに沙織(さおり)のヒップドロップ炸裂だぁ! アハハ」

「最近リバウンドしたから、威力アップしてるかも」

「マジで? キツイね、ソレ」

 ぽちゃ女もとい沙織と香奈が、楽しそうに笑い合う。

「ハハ。てか今回の獲物は逃げまわらないから楽だよ。コレ、避けられると結構痛いんだよね」

 沙織は笑いながら私の上からどいた。

「確かに痛そう。気をつけなよ。じゃあ次、仁美の番ね。その後はまた私」

 いつの間にか交代制になっている。

「うん……」

 やはり仁美は元気がない。こんな状況で相手の心配をしてる場合じゃないが、どうしたんだろう?

 私は再び頭だけ動かして仁美の方を向いた。ってより、身体が重くて思うように動かせず、頭しか動かせなかったってのが正解だけど。

「早く」

 香奈に促され、仁美がゆっくりと前へ進む。

 さっきより強くなった風と雨の匂い。本格的に雨が降りそうだ。

「早くしてよ」

 香奈は再度、促す。

 目線だけ仁美の方に向けると、仁美は目を閉ざして首を横に振った。

「仁美、早く! それとも、あんたもやられたいの?」

 香奈が罵声を上げる。

 その時――。