そこは公園を兼ねた神社だが、うちの近くの公園と大差なく、ブランコと滑り台、鉄棒と砂場があるだけの寂れた公園である。

 こんな寂れた神社でも、大晦日の夜は、除夜の鐘を撞こうと大勢の人が集まるのだが、残念な事に普段は公園としても神社としても機能を果たす事なく、ガラの悪い連中のたまり場になっている。

 敷地内に入ると、そこには香奈を除いて女が二人居た。

 一人は痩せ型、もう一人はぽっちゃり型で、二人とも金髪のロン毛。痩せ型の方は綺麗な顔をしていてスタイルも良い。ぽっちゃり型の方は幼い顔立ちで、身長も低いから中学生にも見える。

 この二人のうちどっちかが、さっきの電話相手だろう。

「お待たせ」

 香奈は上機嫌で二人に声をかける。

「オッス、香奈。こいつが今回の獲物?」

 痩せ型の女がニヤニヤとした顔で私を見た。

 つか“今回の”って……。

 まさか、今までも似たような事が何回かあったのか?

「そだよ、仁美(ひとみ)。じゃ、早速やっちゃお!」

 ニコニコと笑う香奈。

 やはり香奈は話などする気はないようで、私を袋にする事しか頭にないらしい。

「待てよ、香奈。何するつもりかは想像つくけど、一体、私の何が気に入らねえんだよ? しっかり説明してもらわなきゃ納得出来ねえんだけど」

 聞いても無駄だとは思うけど、とりあえず聞いてみた。

 すると香奈は悪魔のような笑みを浮かべて、一歩、また一歩と近寄ってくる。