休憩時間中、煙草を吸う時を省いて、香奈はずっと秀人に質問ぜめをしていた。

 苦笑しながら秀人がこっちをチラチラ見てたけど、それに応える余裕なんてない。

 よく分からない嫌な気持ちに、押し潰されそうだった。

 何だろう、このモヤモヤした気持ちは? 何でこんなに胸が苦しいんだろう?

 自分の中の何かが警告アラームを発している。それが何に対してなのかは分からない。ただただ、胸騒ぎがした。

 更にもう一つ気になった事。今度は勘違いじゃない。香奈が、刺すような冷たい視線でこっちを見てんのが分かった。

 朝は普通だったのに何で? バイトの間に香奈を怒らせるような事したっけ?

 答えも分からないまま、休憩時間は終わりを迎えた。

 そして私は、ずっと上の空(うわのそら)でこの日のバイトを終える。帰りも秀人と仲良く並んでおしゃべりしながら帰宅した。