「別に嫌じゃねえよ。ただ長くなるってだけだから」

 そして私は仕送りについてと、それに関わる自分の家族の事を話した。

 秀人は基本的に黙って聞いてくれてたけど、時折優しい言葉をかけてくれていた。

 秀人が発する言葉一つで、私の心は軽くなっていく。

 私は決して癒えるはずのない傷痕が、徐々に癒されていくのを感じていた。

 私が話し終えると、秀人は優しく抱きしめてくれた。

 その温もりがスゲー嬉しくて、涙が出そうになるのを必死に堪えながら身を任せる。

「冷えてきたな。中、入るか」

 秀人は私の頭にポンッと手を置いてからベランダの窓を開けた。

「そうだな」

 私は頷いて中に入る。

 中に入ると、冷えた身体を温める為に紅茶を淹れた。

「サンキュー」

 秀人は笑顔で言い、紅茶を一口啜った。

「ああ」

 猫舌の私は、フゥフゥと冷ましてから少しずつ飲んで、ゆっくり身体を温める。

 数十秒の沈黙の後、秀人が口を開いた。

「んじゃ、今度は俺が話すな」

 秀人は煙草に火をつけて、昔を思い出すように遠い目をして話し始める。

 その内容は私が想像していたよりも酷いもので、聞いてるだけで胸が苦しくなってきた。