あまりに恥ずかしくて、ろくに水分を取る事なく、つまりは顔を上げる事なく食い続けていたら、秀人より先に食い終わってしまった。

 秀人は一体どういう意味で言ったんだろう? よく考えたら“愛情たっぷりの”なんてのは、お決まりのフレーズで使われたりもする。“料理に愛情を注いで”って意味で使ったのかもしれない。

「美咲。どうしたんだよ、ボーッとして。煙草吸わねえのか?」

 またも思考の渦に呑まれていた私は、秀人の声で我に返る。

 つか、何でさっきからこんな事ばっか考えてんだよ、私は。意識しすぎだっつーの。

「吸う。ベランダ行こ。私、コレ置いて来る」

 雑念を振り払って答えたつもりだが、若干、妙な日本語になってしまった。まぁこの際それは、気にしないでおこう。

 シンクに洗い物を持って行き、秀人と共にベランダへ向かう。

 ベランダに出ると、昨日と変わらぬ爽快な風と、地上で煌めくスターダストに出迎えられた。

 美しい景色に見とれ、また秀人を意識する自分に気付いて慌てて話題を探す私。

「秀人。昨日の仕送りがどうのって話、私から話すな?」

「ああ。つか、もし嫌だったら無理に話さなくて良いよ」

 秀人は旨そうに煙草を吹かしながら答えた。