幸せそうな顔で焼きそばを食べる秀人を見ていると、思わず私の顔も綻ぶ。

「やっぱ美咲の作ったメシは美味いなぁ」

「いやいや。私が作ったつーか、インスタントじゃん。誰が作っても同じだろ」

 しみじみと間抜けな事を言う秀人に、即座に突っ込む。

「違うんだよ、これが。隠し味が入ってるからな」

「隠し味?」

「ああ。美咲の愛情がたっぷり含まれてんだよ。知らなかった?」

 秀人はニッと笑って私を見た。

 何気ない一言。他の男に言われたら、何を気取ってんだよ、とか思うだろう。

 でも秀人の口から出た“愛情”って言葉は、妙に胸の奥を刺激した。

 直後、自分でも紅潮してんのが分かる程、頬や耳が熱くなっていく。

「い……いきなり何を?」

 パニクって言葉が出て来ない。私の秀人に対する“好き”って気持ちは、英語でいうlikeであってloveではないはず。なのに何で、こんなに意識してんだよ?

 もしかして……、いや、多分違うだろ。

 秀人が、からかっている様子もなく、真剣な表情で私を見つめているから、妙に意識してしまう。

 様々な思いが頭の中で葛藤し、私の思考回路はショート寸前。

「美咲、顔赤いぞ? 可愛いな。ほら、早くメシ食えよ。冷めちまうぞ?」

 秀人はフッと微笑んだ。

 不覚にもまたドキッとしてしまい、パンク寸前の頭で「ああ」とだけ返す。そして胸中を悟られないよう、食う事に専念した。