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 リビングに戻ってソファに腰掛けると、早速煙草に火をつけた。

 二人共、愛煙している煙草が同じ銘柄のセッタ。その為、テーブルには開封済のセッタが二つ、仲良く並んでいる。

「秀人。転校早々……つーか、まだだけど、巻き込んじまって悪いな。秀人には迷惑かけねえから。何かあったら言ってくれよ」

 私はなんだか申し訳なくなってきて、思わず謝罪の言葉を口にした。まだ何か起きた訳じゃないけど、起きる可能性が高いから気になってしまう。

「気にすんなよ。さっきも言ったけど、俺が勝手にやる事だし。何があったか知らねえけど、美咲の事、傷つける奴は絶対に許さねえから。美咲こそ、何かあったらすぐ言えよな」

 秀人は煙草を持っていない方の手で私の頭をくしゃくしゃっと撫でた。

「ありがと」

 実際には秀人を巻き込みたくないし巻き込むつもりもないけど、気遣いが嬉しくて素直にお礼を言う私。

「そういやメシいつにする? なんか無性にインスタント焼きそばが食いたくなってさ。昼間、買ってきたんだ。それ食わねえか? 持ってくんの忘れたから、取って来ないといけねえけど」

 秀人はふと思い出したように聞いてくる。

「いつでも良いけど、本当は焼きそばが食いたいんじゃなくて昨日のピザの事を気にしてんだろ? 気にしなくて良いのに。まっ、今日は、お言葉に甘えとこうかな。話してたら私も食いたくなってきたし」