そして私は部屋に入って着替えを済ませると、再び秀人たちと合流した。

 他愛ない話をしながら駐輪場に向かい、原チャをスルーしてちゃっかり秀人の後ろに座る。

 いざ出発しようかという時に、今度は鏡司の携帯が鳴った。

「おう、どうした? ……マジかよ。場所は? ……分かった。すぐ行くわ」

 鏡司は話し終えると小さなため息を漏らす。

「なんかあったのか?」

 大樹は不思議そうに鏡司の顔を覗き込んだ。

「ああ、なんか最近やたらうちにちょっかい出してくるチームがあってさ。相手すんなっつってたんだけど結局揉め事んなったらしいわ。んで、いつのまにか相手の人数ぞろぞろ増えてってマズイ事んなってるみてえだから、ちょっくら行ってくんよ。即行で片付けて戻って来るから先飲んでてくれ。わりぃな、突然」

 鏡司はそう言ってエンジンをかけた。

「ちょっと待てよ。そういう事なら一人で行くよりみんなで行った方が早く終わんだろ」

 大樹はチラッと秀人を見てから鏡司に視線を戻す。

 それを受けて秀人が頷きながら口を開いた。

「だな。んじゃ、軽く食前の運動しに行きますか」

 秀人も一度、大樹の方を見てから鏡司の方に向き直る。

 鏡司は「わりぃな。お前らが来てくれりゃ心強いわ」と言って悪戯に微笑んでいた。